思い出したこと
何年かまえに、道をあるいていたら 肩にフクロウを乗せた人が歩いてきました。
夢みたいだと思ったけれど、そうではなくて、ちゃんと現実でした。
肩にのせた その真っ白いフクロウは メンフクロウというらしく、飼育が認められているフクロウだそうで、手乗りにして飼っているのだ、とおっしゃっていました。
ところでその頃、わたしは あるひとの依頼で いくつかの調べ物をしていました。その中には「知里幸恵」もありました。
知里幸恵さんは 登別出身で「アイヌ神謡集」を出版し、19歳で亡くなった方ですね....。ずいぶん前の人です。
この時点でわたしは知里幸恵さんを全く知らず、アイヌ神謡集も読んだことはありませんでした。
知らないままではいけないな....お仕事として依頼を受けたものなのだから....ということで、登別市の「知里幸恵 銀のしずく記念館」に行きました。
登別は 室蘭のお隣なので、そんなに遠くは、ないのです。
いつだったかな.....ちょっと忘れてしまいましたけれど。
ともかく、行ったのは初夏で、新緑が綺麗で、小鳥の声が沢山聞こえる時でした。「銀のしずく記念館」は 知里幸恵の生家の跡に作られた、とても小さな場所です。展示品も多くはないのです。
その中に 「アイヌ神謡集」の手書きの原稿用紙が展示されていました。
「Sirokanipe ranran pisikan Konkanipe ranran pisikan....」
「銀のしずくふるふるまはりに 金のしずくふるふるまはりに....」
ではじまる「梟神が自らをうたった謡」の原稿でした。
手書きの原稿が展示されているだけ!それだけ!なのですが
私はそこで泣きました。
なぜ泣いているのかは私自身にもわかりませんでした。
全文展示されてるわけじゃなかったように思うのです。
冒頭のくだりが、広げられているだけなのです。
そこで私は雷が落ちたような気分になり、しばらくぼうっとしました。
その後、館長さんらしき人と少し話したり、お庭を散策させてもらったりしたのですけれど、その後、仕事の方向性が変わり、「知里幸恵さん」をメインにしないで 編集することに変わり、その後 そのままにしていました。
だから 私のお話はこれでおしまいです。
なぜ今日になり、これを思い出したのか.....
フクロウが来てくれたからです。
kamuichikappu!
いや、シマフクロウでは絶対ない、んだけど。
何だろうな。
Edited by じゅんか 2023-07-17 13:06:08
Last Modified 2023-07-17 20:30:33