アマチュアとプロの間(1)
人の話をよく聞くと、たいていは 同じ課題が自分にあるのに気付きます。
「自分自身のあり方に自信が持てるか」
意外とこのテーマは深いと思います。特に仕事面では。
私は大学は出たけれど、文筆系の専攻ではありませんでした。
でも「書く」関係の仕事がしたくて印刷会社に就職したのですが、そこには「書く」先輩はいませんでした。
その頃の中小の印刷会社には それぞれ得意分野がありました。
住みわけがあったんですよね。会社に。
私が働いていた会社の得意分野は「論文集」と「帳票」。
ですから、内容を書くのはお客さまの仕事で、社内に書く仕事をしている人は誰もいませんでした。同じくデザインができる人もいませんでした。
細かいことを言えば沢山の「プロとしての配慮」がありましたが、私が担当することになった「CATVの番組ガイドづくり」について 誰も助言できる人がいませんでした。
社内で作るには 複雑すぎるレイアウトだったために、主な組版はすべて外注していました。なんで あの仕事を請け負うことになったのか 今でもわかりません。永遠の謎です。
また、中小企業あるあるな現象として、社員教育について何の準備もなかったので、入社しても 何らかの研修へ行くでもなく、いきなりぶっつけ本番でした。
「契約をとってしまっていて」「一日でも遅れたら 大問題!!なテレビ番組のガイドづくり」「3万7千部発行の月刊誌」の担当者を2年間やりましたけど、今考えても 毎日冷や汗ものでした。
今思うと 「書く量」はたかが知れていました。
番組紹介は 文字数の制限が大きいので、長文はありません。
資料の丸写しだと著作権の問題が出るので、どうにか書き直さないといけませんが、美文を求められるわけではありません。私は「書くスピード」だけは早かったので そこにはあまり、悩みませんでした。
ひたすら続く 校正(間違い探し)にうんざりしたくらいで。
胃が痛いのは「色指定」でした。
おおまかにお客さんからの指定が来ていても、最後まで怖いです。
今はDTPがあるので、色の組み合わせを制作途中に確認できますが、その頃は 「写真」と「文字の量と配置」と「色見本」を見ながら あらかじめ指定しなければいけませんでした。ほぼ勘だけが頼りでした。
「ああ、ダメだ!この配色、失敗」と色校正をやり直ししたら、大変なことでした。色校正は専門の製版屋さんへ依頼していましたから、一度の訂正ごとに費用が何万もかかります。「新人なので、勘弁してね☆」とはなりません。お客さんからの指定がなくて 自分で全部を指定して 大失敗した時もありました。
そのたびに、「プロなのに、こんな失敗を」とお叱りを受けます。
プロであるはずの私はデザインの勉強をしたことがない22歳。
お客さんのところに行くときは 「デザインもできる新入社員です」と紹介されてしまっています。
「いや 全くの素人です」とは言えない環境でした。
なので、デザイナーだと思っているお客さんにお叱りを受けるのは当然のことですが 実際には全く力不足だったわけで、あの頃のお客さん、ごめんなさい!って今でも思います。
余談ですが、この会社に勤務している間、デザインとか 色指定とか、編集に関する研修は一度もありませんでした。何度か失敗を重ねて困り、「社外の研修を受けたい」と上司にお願いしたら、研修を受けさせてもらえたのですが、それは一般事務社員向けの接客研修でした。(「電話の取り方」みたいなヤツです)
うーーーん ミスマッチ。あのとき、どういえば良かったんだろう。
Edited by じゅんか 2019-07-29 07:46:17
Last Modified 2023-03-13 19:21:18