子孫を残さなかった人々
父は 2歳頃から就学前まで 親戚の家に預けられて育った。
学校の校長先生をつとめていたその家には子どもがなかった。
親戚間の養子縁組が当たり前だった時代に なぜ 養子にならなかったのかは よくわからない。
その家には タカミさん(仮名)と呼ばれる人もいたようだ。
この人は成人した男性で、ものすごく頭がよかった。
本屋が一軒もない 田舎の山中に住んでいたにも関わらず 知らないことがなかったという。
私の父は田舎に育った中卒で 下働きの小僧だったわけで いわゆる教養とは縁遠かったはずだけれども 割に物知りである。
古文書のたぐい、漢文のたぐいも さっと読んでしまうことがある。
成人してからの自助努力もあるだろうが、
養父の校長先生や タカミさんの影響も大きいと思われる。
しかしながら 天は二物を与えず。
タカミさんは頭はすばらしくよかったが、「てんかんもち」だった。
一生働くことなく もちろん結婚することもなく 子孫を残すこともなかった。
父を預かった校長先生も 一生子どもに恵まれることなく 亡くなった。
タカミさんがどのように亡くなったのか 私は知らない。
ともあれ、直系の先祖でなくても、子孫に影響を及ぼした人々というのはいる。
また 結婚する、ということは 当たり前のようで当たり前ではない。
働ける、ということも 当たり前のようで当たり前ではない。
子どもを授かる、ということは さらに当たり前ではない。
色んな人が 色んな立場で 社会のどこかを支えているんだな。
そんな気がした。
今日も生かしていただいて ありがとうございます。
Edited by じゅんか 2011-08-10 14:38:13
Last Modified 2011-08-10 14:42:06