解体の前に(3)
この事務所建物には 沢山のお客様においでいただきました。
私が子供のころなどは 朝から晩までひっきりなしにお客さんが来てくださって
いました。
この事務所は間口たったの一間(いっけん=およそ1.8メートル)です。

(お客様用の机)
でも、3名分の客席、お客様用の小さな机、私たち家のものは階段に腰かけて、父は事務机に。そして2つほどの簡易椅子....常時6,7人での打ち合わせだってすることができました。

お客様用の机には3つの絵が描かれていました。
「医者」と「学者」と「僧侶」でした。
「実用と、学問と、宗教はどれも大切だけれど、どれにも偏ってはならない」
という意味合いをこめて描かれていたようです。
それもまた、私にとっては様々に感慨深いです。
二階からお茶を運ぶのは主に母の仕事でしたが 母も手一杯になれば 私たち子どもも、何度も何度もお茶を運びました。
とにかく、偉い人も、そうでない人も 沢山沢山お客様が来てくださいました。
近年になって この場所でお茶会が開かれたそうです。
材木屋の事務所でお茶会!と私は大変驚きましたけれど、
主催してくださった方も、お越しくださった皆様も とても喜んでくださったそうで、この空間の新しい役割にとても驚きました。本当に貴重な機会をいただけて本当によかったと思います。
できることなら どなたか この建物をさらに生かしてくださる方がいらっしゃればいいなと思います。
残された時間はほんのわずかになりました。
よきご縁がありますよう 心からお祈りしております。
皆さま ここまで読んでいただきありがとうございました。
Edited by じゅんか 2018-10-05 00:41:16
Last Modified 2018-10-07 08:15:42