解体の前に/備忘録1/壁

今日は少しお出かけでした。
するとそこに貼り紙がしてあり、「あきらめろ」と書いてありました。
何かとても 笑いそうになりました。
でも、あきらめも大切です。
移築先があろうとなかろうと 解体されたら必ず消えてしまうものを記録しておこうと思います。
さて、今日は地味ですが、「壁」を紹介させていただきます。
事務所建物の壁を塗るのは 大変な仕事だったと聞いています。
壁を塗るのは左官屋さんに頼みました。
以前にもご紹介いたしましたが、「壁土は絶対に本聚楽じゃないといけない」という大濱さんのこだわりがありました。
なので、解体される良いお屋敷の土をもらいに行ったといいます。
本聚楽はその頃生産中止品で、どこにも販売されていなかったからです。
塗り始めると 何度塗っても大濱さんの気にいるようになりませんでした。
外壁を塗り始めた瞬間に 室内で作業していた大濱さんが「そこはそんな風に塗ったらあかん!」と飛び出してきたこともあるそうです。
室内から外は見えませんから なぜ作業の様子がわかったのかはわかりません。
満足できなかった大濱さんが自らコテを握って塗ったとも聞いています。
すると 担当した左官屋さんの塗りよりも確かにきれいだったようなことも聞いています。
「本聚楽」は鉄分を含んでおり、赤い鉄さびが模様となって浮き上がるのですが、「その模様が均等でないといけない」と言われたと聞いています。
保存状態の良い部分の壁土を少しお見せしておきます。

この塗りは 再建したとしても 再現できるかどうかわからないですね。

(こういう「スミの処理」も難しそうですね。)
Edited by じゅんか 2018-10-06 18:51:15
Last Modified 2018-10-06 19:08:42