実家事務所の話/大濱さん(7)
実家事務所がいずれ解体されることになりました。
この事務所は私の父をはじめ、様々な人から愛されており、また大変貴重なものだと思います。
解体される前に、覚えている限りのことを記録しておこうと思います。
また、京都までお越しいただける方はぜひお立ち寄りください。
さて、通常の読者の皆さん、記録する量が多く、通常の記事がしばらく少なくなります(でもたまには通常の記事もアップします)
大濱さんの記事が読みたくてフォローしてくださっている皆さん、時折、通常の「みつやんつうしん」になりますので、その際はスルーしてください。
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参考記事『完全敗訴から控訴審終了 長文』
さて、姉のブログが更新されました。
ナラガシの階段の下がどうなっているのかをご紹介しています。
そう、枯山水があるんですよ。
もともと白熱球がついていて ガラス板から下をのぞくと それが見える仕掛けなんですね。
そして 私たち家族にとって あまりにも当たり前のことだったので、書くのを忘れていましたが この事務所は「鶴と亀」をモチーフにしています。
正面から見ると浮いたように見えるナラガシの階段が 実はしっかりと裏側で保持されている様子を見ることができます。(わかりやすい支え方ではないですけど)
上部階段がどう支えられているかがまた凄いのですが これについてはまた後日アップされると思います。
余談ですが 事務所の床....と壁面の一部は石でできていましたが (現在は一部破損)これも気にいる石を見つけるために、「三重県石槫村」(現在はいなべ市)の父親の故郷まで大濱さんと二人で取りに行った行ったそうです。「石槫」(まるい石)という地名がつくだけあって そのころは石が沢山あったらしいです。
...この階段、美しさとともに機能性もあります。
わたしが子どものころ、大濱さん自身がが言っていましたが
「京都の社寺の階段は 上るときに楽なようにできている。でも下るときには下りにくい。それで上るときも降りるときも楽な階段にしたんです」
そうなんです。わたしはこの階段を駆け下りたり、駆け上ったりして育ちましたけど、楽なんですよ。京都ですから 沢山のお寺があって お参りするときには、たいてい沢山の石段を登ったり下りたりするんですけども 確かに降りるときの段差は小さく、登るときは楽な気がします。
「大濱さん目利きの逸話」とともに 私の印象に残っているのは「大濱さんの立体感覚の逸話」です。
うちの実家事務所を作る際には 設計図がなかったのはお伝えしたとおりです。(アメリカで撮影されたフィルムには伝統工法で使われる「番付表らしきもの」が写っているので 書けなかったわけではないと思います。)
うちの事務所を作る前にNさん宅が作られています。
その時も 特に設計図はありませんでした。
ただ打ち合わせの時、Nさんの奥さんが台所で立ち働く姿を 大濱さんはじっと見ていたらしいです。別に巻き尺を持って図りまわったりするわけではなく、ただ見ていたのです。
月日は流れて、Nさんのお宅が完成すると 奥さんは 台所の使いやすさに驚いたそうです。流し台の高さも奥さんの身長にぴったりでした。持っていた鍋釜や食器類の置き場所がすべてすっきりおさまったと言います。
残念ながら この台所は現在もうないのですが 一度拝見したかったなと思います。
Edited by じゅんか 2017-03-07 07:18:48
Last Modified 2017-03-16 09:57:45