大濱さん(8)書とその内容について
さて、実家事務所には 大濱さん自身による墨書がいくつかあると言いました。
たとえばこれです。

書としての評価は置いておいて...
これ、私には読めないのですが 内容はこう書かれているそうです。
子曰、富與貴、是人之所欲也、不以其道得之、不處也、貧與賤、是人之所惡也、不以其道得之、不去也、君子去仁、惡乎成名、君子無終食之間違仁、造次必於是、巓沛必於是、
これ.....論語の一節ですね。
書をやっている人にお聞きしたいんですが 書を書く際に、たとえば お手本を見ながらこれだけの勢いで書けるものですか?
この一節は覚えていたんじゃないですか?と思うのです。
ちなみに読み下し文だと 以下の通りです。
子曰わく、富と貴きとは、是れ人の欲する所なり。其の道を以てこれを得ざれば、処らざるなり。貧しきと賤しきとは、是れ人の悪む所なり。其の道を以てこれを得ざれば、去らざるなり。君子、仁を去りて悪(いず)くにか名を成さん。君子は食を終するの間も仁に違(たが)うこと無し。造次にも必ず是(ここ)に於いてし、顛沛にも必ず是に於いてす。
この文章、たぶん大濱さんとしてははっきり意図を持って書いたんじゃないかと思います。
なぜなら階段中ほどにある収納スペースに作り付けされた小型襖の裏側に、 「顛沛」(てんぱい)などの難しい用語解説が書かれているからです。
普段は見えない裏側に書かれているからこそ 意味はある気がします。
書棚に取り付けられた小型の襖には鶏の絵とやはり墨で書かれた文章が書いてあります。

うちの実家事務所は本当に長年事務所として使われていて 大濱さん自身が作った収納、事務机、書棚が作りつけられています。
中でもこの書棚はひっきりなしに開け閉めしたので、経年劣化が激しいですね。
建築当初の写真があるので、それを見てみましょう。

私の眼には....
「天地は一の美術なり.....」と書いてあるように見えるのですが、いかがでしょうか。続きが読めないのは残念ですが これも意図があって書いているような気がしているのです。
現在の私が階段の上から階下を見るとき
「ああ、そうだったのか」
この階段は自然を模している...ということに気付いたからです。
石の床は 水辺ですよ....。
水辺の鶴と亀を模して この事務所がある!!
天地は一の美術なり....思い込みかもしれないのですが そのように感じています。
Edited by じゅんか 2017-03-09 08:10:11
Last Modified 2017-03-16 09:58:02