まっちゃん元気か!
お説教人生で思い出した。
大学1年の時 下宿に帰ると、下宿の前に見知らぬ女の子がいた。
「○○ちゃん、いる?」と聞いて来た。
○○ちゃんは私の部屋の隣室の子で、割と仲が良い子だったし、いつもは 私が彼女の分まで夕食を作っていたから 彼女のスケジュールならわかる。
「○○ちゃんは、部活だから 遅くなるよ。どうしたの?」
そう、この人はなんか様子がおかしかった。
「あのね、わたし 家出してきたの....」
「あそっか....、じゃあ アタシの部屋で待ってていいよ。もうじき帰って来ると思うし」と言ったら本当に入って来た。
それがまっちゃんだった。
家出って 何があったのさ.....と何気なく聞いたら
「お母さんからひどいこと言われた」と言う。
彼女は真剣に真剣に お母さんに言われた暴言を教えてくれたのだけど 聞いているうちに笑えて来た。
「キャベツとレタスの見分けもつかないなんて 困る。もっと家のことも手伝って欲しい」
キャベツとレタスの見分けがつかない?それ本気?
ちなみに彼女は一浪して入学していたからその時すでに二十歳だった。
しかし 進学校で勉強ばかりしており、家のことを手伝ったことが無いまま二十歳になり、頼まれた買い物すらできないので叱られたらしかった。
もちろん 卵焼き一つ焼いたことがなかったらしかった。
そして本当にキャベツとレタスを見分けることができなかった。
○○ちゃんが帰って来たので もういちど話を聞いて そして申し訳ないけど爆笑した。
「あのさ まっちゃん。それ お母さんの言う通りだよ! もう少し家事は出来た方がいいよ!別に花嫁修業じゃなくても!!!」と笑いながら一晩語り明かした。
後日再び まっちゃんは 「やっぱり帰れなくて....」下宿に現れた。
そして○○ちゃんは部活で 流れ上 私が話を聞くことになった。
いや、まっちゃん それはやっぱり お母さんの言う通りだから ここから電話しなーーーー」とか言いながら家に電話をかけさせて その夜は爆笑しながらまた一晩明かした。
この頃には 携帯電話はなかったしね。
2回目の訪問の時は 一体何が悩みだったかわからない。
でも 多分 他人目線だと大したことはない内容だったと思う。
その後まっちゃんは 「今度はウチに遊びに来て」と誘ってくれたので お家にも遊びに行った。すると予想通り お母さんはごく普通に良い人だった。
その後 私はまっちゃんに会っていない。(そもそも私の直接の友達ではなかったし、下宿の建替えに伴い 下宿の面々は離散していた。 私と○○ちゃんですら あまり会わなかったので、自然と言えば自然である。
何年かたって ○○ちゃんに会った。
まっちゃんの話になった。
まーまー大手の企業に無事就職し OLとなって ようやく落ち着いたか、と思ったら「私、歌手になりたいの」と言い出したらしい。
申し訳ないけど やっぱり吹き出した。
だって彼女は 確かにどこかの合唱団には入っていたけど ルックスが「ママさんコーラスの人」そのものだったし(若いのに...)なんとポップスの歌手を目指すと言っているのだった。
24歳のママさんコーラスぽいルックスで地方在住の彼女がポップスの歌手を目指す....というのに、何のリアリティも感じなかった。
しかし実際のところどうなんだろう。
彼女は実は歌手になったのかな。
でも 彼女は面白い人だった。そして本人は けっこー真剣だった。
そして 毎回申し訳ないけど 真剣に悩みを語る彼女を前にして 私は笑っていたと思う。
ごめんなさい。
そして 元気でいて欲しい。
Edited by じゅんか 2014-03-20 18:28:02
Last Modified 2014-03-22 23:46:20