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2010-04-12実家自慢/面倒臭いことが お店を救う。
なぜ個人客が多いか...多分 ウチが貧乏だったからです。
特に私の生まれた頃、父は人身事故を起こしてしまい、全然おカネがありませんでした。
母は困っていました。
私のミルク代もない。
有り金は全部お見舞いのおカネとして消えて行きます。
たまたま創業当時、世の中は不況でした。
ところが 近所の人がたった一枚のベニヤを買いにくる。
個人のお客さんというのは 現金でおカネをくれます。ツケじゃなく。
その何百円かが ミルク代と同じ金額だったそうです。
そういうことがたびたび重なり、個人のお客さんを大事にする習慣がつきました。
何せ、店番は母ですから。
そして、父です。
彼は多分、仕事面では多血胆汁ですね。
芸術家大好き
個人客も大好き。
重機もまったくない、従業員もいないわけですから
他の大きな材木屋さんのように リフトで大量に同じものを売るような商売はできません。
えり好みされた後の不良在庫がぴょこぴょこ反り返ると 母も父もがっくりはするのだけど....
父はそもそも細かく何かをするのが 多分好きですね。
だから ヒマを見ては 反り返った長尺の木を削り直して杭を作ってみたり
「フシがあるのはキライだ」とお客さんがハネた材料を集めてフシ部分だけを切り落とし、
削って表札用の板を作ったりします。
それが何十本、何十枚になるまで。
個人のお客さんが多いと、色んなことでヒントをもらうので、そういうのも力になったと思います。
あの人はこういうの、好きだなー と思いながら 版画の版木なんか作っている訳です。
不思議なことに こういうことをちまちまやっていると
「ピンポーン」とベルが鳴り、お客さんが「ちょうど欲しかった!」と買いに来ます。
父、「商品はかわいがったら 売れる」と確信をもっています。
加えて父の芸術家好き。
それに 木が好き、木が好き 大大好き。
父親自身はコレクターではなくて あくまで 商売人なのですけど
父のもとにやってくると 長年の不良在庫が売れる、という評判がたって
不良在庫を引き取ってくれ、と泣きつく人もたまにいます。
個人客が多いってゆーのは 面倒くさくて儲からない、と思われていたんだけども....
今となっては かえって良かったのです。
バブル期に 景気のよかった工務店は今やほとんどありません。
多くの材木屋が踏み倒されて 大変な目にあいました。
ちまちま商売、大もうけはしないけど とにかく生き延びることができたのは
細かい個人のお客さんのおかげです。
Edited by じゅんか 2010-04-12 14:02:09
Last Modified 2017-03-02 22:52:29