実家自慢/悠長な商売
どどーん、と処分品を引き取ると しばらく大変です。
愛されていなかった商品は たいていホコリだらけで真っ黒。
整頓もされていません。
さあ、困りますね。
一度だけ 手伝いました。
「弱ったな」と頭をかく父。
目の前には 何十枚かのバラバラの合板があります。
この時はまだマシで 200枚来たときもあったそうです。
合板は普通サブロク(三尺×六尺=90×180センチ)が主ですが、たまにニハチ(二尺×八尺=60×240センチ)もあります。
普通は壁板にするにせよ、何にせよ まとまった数を使いますから、仕入れるならロット仕入れですし、一枚2枚の製造中止品があれば 「不良在庫決定」といえます。
そんなもん、整理する必要も無い、放置されていたのでしょう。
気持ちはわかります。
で、気長に「かるたとり」をします。
全種類を並べてみて 万が一同じものがあればそろえます。
似た柄を集め、並べ替え....商品が小さければあっという間に終わる作業ですが、
何せ商品は大型なので、合板をかかえてエッホエッホしますし 広げると他の接客が大変なので ヒマな日にするのです。
合板だからといって バカにはできない。
いわゆる「プリント合板」ばかりでなく、ホンモノの木を表面に貼付けた高級品もあります。
様子を見に来た同業者は「こんなもん、売れませんやろ」と一言。
妖怪父「そうですなあ。」と笑っております。
あーこりゃ昔はやった柄だなーとか 昭和○年代によく売れた!とか言いつつ並べ替え、ホコリを払い、整理して終了。
徒労に終わるかな、と思っていると ピンポーンとお客さんが来ます。
「この板、あるかなあ...一枚あったらええんやけど。」
ああ、これは 昔々 「文化住宅」と呼ばれた安普請の住宅に好んで使われていた「下見板」という合板。
今では多分どこも置かないでしょうね。
「ありますあります。」とサッと出します。
何日かたつとまたピンポーン。
「ウチの洗面所の壁、自分で貼り直すねん。ちょっとでええし、安い板あるかな」
ありますあります。
また次の日にピンポーン。
えらくハデな奥様が ウチのリビングの壁板欲しいんやけど」
おお、おお、あれだけはまとまった数だった!
この奥さんのシャツの柄とそっくりなハデハデな板が!。
世間話をしつつ まずは違う商品を見せつつジャブジャブ。
最後にハデハデ柄を出して「これなら安くしときますけど」
「これがいいわーーー☆」
こうして ボツボツと出て行くのです。
くるりと振り返る妖怪父
「ほれ、商品はかわいがったら売れるやろ」
Edited by じゅんか 2010-04-15 22:35:31
Last Modified 2017-03-02 23:03:53
コメント
派手派手おばさまへの対応、見事ですな〜。
投稿者:ははあいす|2010-04-16 05:31:59
ははあいすさま
私自身は このような日常的なやりとりの方が好きですね....。
私自身は このような日常的なやりとりの方が好きですね....。
投稿者:じゅんか|2010-04-16 14:53:35
>「ほれ、商品はかわいがったら売れるやろ」
ものごとの神髄がわかっているお父様ですね。
すごいです!
ものごとの神髄がわかっているお父様ですね。
すごいです!
投稿者:あや|2010-04-16 23:03:07
あやさま
ありがとうございます。
仕事を楽しんでいる人は 同じ雰囲気を持っている気がします。
ありがとうございます。
仕事を楽しんでいる人は 同じ雰囲気を持っている気がします。
投稿者:junka|2010-04-18 21:28:57