実家自慢/木を知る人が 少な過ぎる
今日の電話はもう一つ話題がありました。
某人間国宝(故人)の家族の方から電話があったそうです。
残された材料を引き取って欲しい、と。
安くてもいいから、と。
父はとりあえず はっきりした返事をしませんでした。
何と言っても
「おかあさんに怒られるかも」ですから。
でも、私はわかっています。
多分父は引き取るでしょう。良い材料があるのはわかっています。
これと似たことは多いんです。
同業者や家具職人の人たちが倒産した時には 弁護士さんから連絡が入ります。
残された在庫を資産評価できる人がいないからです。
で、父が評価しに行きます。
原木を見分ける人はいるかもしれませんが...
ススがつき 汚れて元の色なんかわからなくなった材料を見分ける人は
あんまりいないようです。
査定をして帰って来て それでおしまいかと思ったら
結局引き取り手がないのが普通です。
確かに困ったものも多い。
たった一枚だけの時代遅れの柄の合板が 何十種類とか
一坪分だけしかないフロアー材(製造中止品)とか。
でも たいてい事情は切迫しており 流れ上 引き取ることがあります。
一応言い値は払いますが、そんな訳なので 捨て値みたいなことが多いです。
一度 そのような 『困った在庫整理」を一緒に手伝ったことがあります。
すると.....
父が 真っ黒の板を抜いて
「ほれ 見てみ」と言います。
私には真っ黒の薄汚い板にしか見えません。
「それはな 朴の2寸板や。上物やで」
黙って削ります。
無垢材は削れば綺麗な姿になります。
「ほれ、オール赤身や。誰もわかってなかったんや」
木を輪切りにすると中心部が赤く 周りは白っぽいですね。
中心の赤いところを「赤身」といいます。
幅広の材がオール赤身だった場合は元の木が非常に大きかったことをさします。
また、周りの白い部分、「しらた」に比べ、腐りにくいので 価値が高いのです。
もったいないこっちゃ。
跡継ぎの2代目は 何にもわかってなかったんやろ....。
いくらこれは良いものだ、と弁護士さんに説明したところで
誰も見抜けないし どうやって売ったらいいかも考えられていない。
そういう品物が めぐりめぐって 父の店に来るのです。
Edited by じゅんか 2010-04-14 23:35:44
Last Modified 2017-03-02 23:02:21
コメント
お父さんこそ木材鑑定の人間国宝ですよ〜。
投稿者:ともこ|2010-04-16 09:53:02
ともこさま
父、勘違いした威張り虫なのか 天才なのか わかりません。
父、勘違いした威張り虫なのか 天才なのか わかりません。
投稿者:じゅんか|2010-04-16 15:02:39